近年多くのピッチャーが受けているトミージョン手術ですが、アメリカではトミージョン手術を受けた選手は球速がアップするというウワサが広まっているそうです。
このことより、ヒジを怪我していなくても球速アップのためにトミージョン手術を受けた方が良いという間違った認識があります。
ここでは球速アップが目的のために受けたトミージョン手術で、球速アップの本当とウソを失敗例も挙げながら探っていきたいと思います。
トミージョン手術で球速アップは本当?それともウソ?

トミージョン手術とは本来、ヒジの内側側副靭帯断裂というピッチャーにとって致命的な故障を治療する手術のことです。
このトミージョン手術は、丈夫な靭帯をヒジに移植するという大がかりな手術のため、リスクも大きく手術を回避する選手も少なくありません。
ではなぜ、怪我の有無に関係なく手術する選手もいるのでしょうか?
実際にトミージョン手術を受けた選手で、故障前よりも明らかに球速アップしたという例があります。
ロサンゼルス・エンゼルスに所属する田澤純一選手もそのひとりです。
しかし実際は、トミージョン手術が球速のアップに繋がるという直接的なデータはないそうです。
むしろトミージョン手術を受け球速が下がっている選手が多かったというデータを、2013年にアメリカの野球統計機関セイバーメトリクスが発表しているくらいです。
トミージョン手術を受けると球速アップするというのは一概にウソとは言えませんが、やはり都市伝説に近いものがあるでしょう。
ただ、実際に田澤純一投手のようにトミージョン手術後に球速がアップしたといわれている投手もいますので、本当といえば本当になります。
球速アップするのか逆に落ちてしまうのかは実際にはわかりませんので、する必要のない手術をしてまでリスクを背負うことはないのではないでしょうか。
トミージョン手術を受けなぜ球速アップしたのか?
トミージョン手術を受け球速アップすると言われるようになったのには、いくつか理由が考えることができます。
なぜトミージョン手術を受けた後に球速がアップしたのでしょうか?

まず、トミージョン手術後は長期間のリハビリが必要となってきます。
その間に下半身をしっかりトレーニングすることができるでしょう。
手術後約半年ほどは、ヒジに負荷をかけることもできませんのでヒジ以外の部分を強化するには絶好の期間とも言えます。
そうすることによって、体幹や筋力アップにもつながりますし、肩や肩甲骨の可動域の改善もできます。
またリハビリ期間中にゆっくりと投球フォームを見直すことができる、という様々な要因から球速アップにつながるともいえるでしょう。
そして、トミージョン手術前は怪我で単純に球速が落ちていたから上がったように見えるということもあります。
やはりトレーニングが基本にあるからこその結果と考えられるので、怪我をしていないのに球速アップを目的にトミージョン手術を受けるというのは話が違ってきますね。
トミージョン手術を受けたことによる失敗例も!

トミージョン手術を受け球速アップに成功したといういい情報だけを得て、トミージョン手術を受ける選手が増えてきています。
最近では高校生くらいの年代の選手でも多少の怪我でトミージョン手術を受けるということが増えているそうですが、失敗のリスクも0ではありません。
そもそもヒジの内側側副靭帯が断裂し、その代わりに身体の別の部分から靭帯を取り、それを移植させているのですから、あくまで代替品と言わざるを得ません。
- どこの靭帯をとってくるのか
- その靭帯の強度はどうなのか
- どのように移植され馴染んだか
などは個人差がかなり出てきます。
実際に館山昌平選手や大塚晶則選手などはトミージョン手術を3回も受けています。
手術後もやはり、怪我をする前のような活躍が見られていないことや、3回もトミージョン手術を受ける選手がいるということは、手術がうまくいかなかったという失敗例と言えるでしょう。
トミージョン手術を受け、その後10試合以上試合に登板できたのは約7割というデータもあります。
トミージョン手術後に球速アップすると、やはり大きく注目を集めることになるので目立ってしまいます。
それはたまたまうまくいった例と考えることができます。
つまり、トミージョン手術後に100パーセント復帰できる保証もないので、球速がアップするかもしれないという安易な考えでトミージョン手術を受けるのは間違っていると言えるでしょう。
やはり手術にリスクはつきものです。
日々のトレーニングで球速アップや筋力アップ、そして怪我をしにくい身体づくりが必要ですね。
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